プラズマの装置にかかると…アポトーシス編

アポトーシス「プログラム細胞死」

 アポトーシスは正常に個体をたもつために欠かせない機能の一つです。日本語では「プログラム細胞死」と訳されることが多い言葉です。プラズマ療法でも、アポトーシスを健康に向かう重要な機能として考えています。

アポトーシスとは

 アポトーシスとは、ギリシャ語で「apo:離れる」と「potosis:落ちる」の合成語で、「木から枯葉が落ちる」という意味のが単語を語源としています。実際に、枯葉が落ちるのもアポトーシスの作用です。

 身近なアポトーシスの例は、胎児の手指が形成されるときに指と指の間の境界の細胞が死ぬことや、オタマジャクシがカエルになって消えることなどが挙げられます。
 胎児の指は、最初はボートのオールのように水かきのように1枚の板のようになっていますが、アポトーシスによって指同士の境界の細胞が死に、それぞれの指が一本一本独立していくことで指が形成されます。

細胞数の調整に使われる「アポトーシス」

 人間のような生命体は、多細胞生命体です。
 しかし、地球上のすべての生物の8割は単細胞の生物です。

 単細胞の生物の細胞の場合、細胞分裂を繰り返して、数が増えていきます。基本的に自然死はない状態です(細胞が圧迫されて物理的に潰れることや、温度上昇で細胞機能が耐えられなくなったことでの死はあります)。
 かたや多細胞生物の場合、分裂のたびに無尽蔵に細胞が増えていたのでは個体を維持できない状態になります。そのため、多細胞生物は1個体あたりの細胞数がおおよそ決まっています。

 多細胞生物は、古くなった細胞は新しい細胞に切り替えていきます。
 新しい細胞を作るときには、元の細胞の設計図(DNA)をコピーして作ります。新しい細胞ができると、ミトコンドリアから発信するアポトーシスの信号により、不要になった細胞は、解体・分解されます。

 細胞分裂のときにDNAがコピーミスして生じた健全ではない細胞や、何らかのストレスなどによって発生した不完全な細胞もアポトーシスによって分解されます。

 正常にアポトーシスが機能していない場合には、糖尿病などの慢性疾患や疾病としてのがんなどの病気を引き起こすことがあります。

アポトーシスが誘導される条件

正常なアポトーシスが誘導される条件として、下記が挙げられます。

1・デスレセプターのシグナル伝達(細胞死を促す信号)
2・シトクロムCの遊離
3・がん抑制遺伝子p53が遺伝子p63よりも優位に働く
4・十分な量のATPがあること
この4つの条件がそろうと、正常なアポトーシスが起こります。

 

プラズマ療法とアポトーシス

 プラズマの装置にかかると、ミトコンドリアが活性化され、正常なアポトーシスを誘発されやすくなります。正常なアポトーシスにより、コピーミスなどで生じた不健全な細胞は、解体処理されます。
 どうして誘発しやすくなるのでしょうか。アポトーシスの4つの条件とプラズマ療法の関係をみていきましょう。

1・プラズマ療法とデスレセプターのシグナル伝達

 ミトコンドリアの内膜には、デスレセプター(Fas、TNFαR、DR3、DR4、DR5)と呼ばれる箇所があります。ここからシグナルが伝達されます。このシグナル伝達は、ミトコンドリア内膜の電位が上昇することで起こることが分かっています。

 プラズマ装置にかかると、体の中のすべての内膜に電子が発生します。当然、ミトコンドリア内膜にも電子が発生します。内膜の電位が上昇します。このため、デスレセプターのシグナルが発信されやすくなると考えられています。

2・プラズマ療法とシトクロムCの遊離

 シトクロムCは、ミトコンドリア内膜にある電子伝達系の複合体Ⅲにあります。プラズマの装置にかかりこの内膜に電子が発生します。発生した電子がミトコンドリアにある一酸化窒素合成酵素を刺激してNO(一酸化酵素)が発生します。

 シトクロムCは、中心にヘム鉄を持っています。このヘム鉄と一酸化窒素が硝酸反応を起こして、中心のヘム鉄が崩壊します。これにより、シトクロムCの遊離がおこります。

3・プラズマ療法でがん抑制遺伝子p53が遺伝子p63より優位に働くようになる理由

 プラズマ療法は、酵素を活性化することが分かっています。プラズマ装置にかかると細胞内のDNAリガーゼや、遺伝子修復酵素などが活性化します。こうして、がん抑制遺伝子p53が、遺伝子p63より優位に働くようになります。

4・プラズマ療法とATPの増量

 ミトコンドリア内膜に電子が発生することで、マトリクス内のプロトン(H+)勾配が高くなります。マトリクスにはATP合成酵素は、水力発電のようなシステムでエネルギーを生み出し、ATPを合成しています。水替わりの水素イオン勾配が高くなるので、より一層ATPを生産できるようになります。
 また、プラズマ療法での酵素活性により、体内のATP合成酵素が活性化することでもATPをより生産しやすくなります。

 このように、プラズマ療法は、正常なアポトーシスを起こす4つの条件にアプローチできます。そのため、根本的な体質改善などに貢献できると考えられています。

プラズマウォーターに含まれる一酸化窒素の有効性

活性酸素の影響をバランスする一酸化窒素

1955年に、オットー・ワールブルクは活性酸素の害を防ぐ酵素があるのを認知していました。人が1日で体内に産む活性酸素の量は100ℓと相当の量です。これを無害化し細胞をバランスする物質が体内には準備されています。それは補助酵素(カタラーゼ、スーパーオキシターゼ、ヘルオシターゼ)三種類と、一酸化窒素です。

このバランスが壊れて活性酸素の量が増えると、細胞が正常に作動せず結果的に組織的な癌化につながっていきます。

活性酸素が多すぎることが癌に向かう体質になる問題なら、無害化できる補助酵素を薬として開発し、服用してはと現代の人なら考えるでしょう。しかし残念ながら、これらの補助酵素は構造があまりに複雑なため、とてもではありませんが人間の科学力では作ることができません。(それが常に体内にあるというのが素晴らしいことですが……)

それでは可能性の一つとして一酸化窒素なら構造は簡単だしどうだろうか。一酸化窒素は気体では猛毒で、自動車の排気ガスに代表されるNOx(ノックス:一酸化窒素の化合物)の一つです。そして、普通は水に溶けません。

 

人間の体内で一酸化窒素は生産されている

マッサージの効果

体内では、マッサージを受けた時に痛みが緩和したり、リラックスした状態になったりするのが一酸化窒素の効果です。

1998年、アメリカの内科医で薬理学者のフェリド・ムラドらの共同研究で、体の部位の一部を押すと圧迫された血管の血管壁から一酸化窒素が出て血管が拡張し、血流を促進することができることを発見しました。この発見は、医学的に大変驚くべきことでした。なぜなら、血流を改善すれば、ほとんどの病は改善するからです。(東洋医学の範疇でも、血流の良いのは、さまざまな病気を改善することが言われています)

この発見で、フェリド・ムラドらはノーベル生物学賞・医学賞を受賞します。

製薬会社は、彼らのノーベル賞受賞の件をうけ、こぞって一酸化窒素の製品化を試みます。ところが、先ほどいったとおり一酸化窒素は水に溶けずに気体のままでは猛毒です。結局、一酸化窒素を溶かす技術を見いだせないまま、各製薬メーカーは開発をやめてしまいます。

 

雷が落ちた瞬間に一酸化窒素

ところで、一酸化窒素は植物たちにも影響しています。

落雷のイメージ

昔から、雷がよく落ちるとその年は豊作だと言われています。これには理由があって、雷の影響で、空気中の一酸化窒素が地中の水分に溶け、地中の微生物が元気になり、植物の根に栄養供給が十分に行くのです。植物の根っこには細菌がいて、細菌が食べて分解し吐き出した物質(ようは排泄物ですが…)を、吸収して植物が育っているので、細菌たちが元気になると豊作になるのです。

これについては、私たちの腸と一緒で腸内細菌を食べて分解したものしか私たちは栄養として吸収しません。

 

一酸化窒素(NO)にはアポトーシスを促す作用も

一酸化窒素にはアポトーシスを誘導する作用もあります。

ミトコンドリア内にある電子伝達系は、私たちのエネルギーを作り出すところでもありますが、アポトーシスを促す酵素が生み出すスイッチの役割を果たしています。

電子伝達系には複合体Ⅰ~Ⅳがあり、水素イオンを汲み出して、同じようにして取り出した電子(e-)を次の複合体へ渡す仕事をしています。

複合体のうち複合体Ⅲがアポトーシスに作用します。

複合体Ⅲの構造は、構造は三層になっており、上からシトクロムCとBとつながっています。シトクロムCとシトクロムBは中心にヘム鉄(Fe)を持っています。血液中のヘモグロビンはヘムを持っていますが、それと同じ意味の鉄(Fe)です。

ヘム鉄は、二つの電子をもっているのか(二価鉄)、三つの電子をもっているのか(三価鉄)の差でプラスとマイナスの差があり、通常だと磁石のようにくっついています。細胞がアポトーシスをするときには、電圧が上がるシトクロムCの二価鉄が三価鉄になり、シトクロムCがシトクロムBと磁石のS極とS極を合わせると反発するように、反発して遊離します。この時に、アポトーシスを促す酵素が出ます。正常に機能していない場合には、電圧が上がらず、アポトーシスは進みません。

一酸化窒素(NO)は、このシトクロムCのヘム鉄と反応を起こして崩壊させます。そして、シトクロムCが遊離させ、正しくアポトーシスを起こします。

 

プラズマウォーターには一酸化窒素

プラズマウォーターは、プラズマ(高電圧放電)を非接触で打ち込んで、空中の一酸化窒素を水の中に入れることに成功しました。

一酸化窒素の効果は前述のとおりで血行が促進されます。体内の炎症を軽くする役割もしています。

 

プラズマ療法で使うのは、主にはプラズマウォーター

プラズマパルサーですが、プラズマパルサーが装置のために「装置にかかる」という行動の意味で非常に分かりやすいのですが、実はプラズマウォーターを飲み続ける方が大事です。プラズマパルサーはトリガーだと考えてください。

遠方の方でプラズマパルサーにかかれない方は、プラズマウォーターだけでも飲みたいという方もいらっしゃいます。