プラズマ療法の基礎知識(一般):電子とは何か

プラズマ療法の世界線は、”電子”の世界

 プラズマ療法の世界線

 プラズマ療法には電子の話がたくさんでてきます。
 そもそも電子とは何でしょうか。

電子とは何か

 電子は、私たちの身体の構造を見ていくと分かってきます。  私たちの身体の構造を小さく見ていくと、骨や筋肉、肺や胃などの臓器があります。

 これは細胞が集まってできているものです。細胞には、核、ゴルジ体、中心体、ミトコンドリアなどの小器官があります。

 私たちの身体の構造の半分以上は水でできています。水の分子式はH2O。
 酸素原子1つに水素原子が2つがくっついている状態です。一つの水分子です。
 便宜上H2Oは、酸素の原子が水素の二つの大きな原子があるというような表現をします。実際にH2Oは、水素は恐ろしく小さくほとんど真球の状態になります。

 最小の原子である水素原子は、陽子が一つと電子が一つで構成されています。
 イメージとしては、太陽と惑星のように、中心の陽子の周りを電子がまわっている状態だと想像されるでしょう。実は、これも便宜上のイメージで、実際の水素原子の様子とは違います。

 実際には、中心の陽子が、雲のような膜に覆われていているように見え、中心の陽子は確認できません。
 電子は、粒子とも波ともとれる両方の性質を持っています。電子は、陽子の周りにエネルギーの「場」を作っています。雲状態に見える所のどこかに「ある」のが一つの電子になります。   

 ちなみに、水素原子の陽子を太陽の大きさにすると、電子は太陽系の最外角の距離です。陽子と電子の間は何もありません。私たちの体は、原子のサイズにまで細かく見ると、実は隙間だらけです。

 電子はまだ科学的にも解明されていない事物でもあります。
 プラズマ療法はこの電子が主役です。

プラズマの装置にかかると…アポトーシス編

アポトーシス「プログラム細胞死」

 アポトーシスは正常に個体をたもつために欠かせない機能の一つです。日本語では「プログラム細胞死」と訳されることが多い言葉です。プラズマ療法でも、アポトーシスを健康に向かう重要な機能として考えています。

アポトーシスとは

 アポトーシスとは、ギリシャ語で「apo:離れる」と「potosis:落ちる」の合成語で、「木から枯葉が落ちる」という意味のが単語を語源としています。実際に、枯葉が落ちるのもアポトーシスの作用です。

 身近なアポトーシスの例は、胎児の手指が形成されるときに指と指の間の境界の細胞が死ぬことや、オタマジャクシがカエルになって消えることなどが挙げられます。
 胎児の指は、最初はボートのオールのように水かきのように1枚の板のようになっていますが、アポトーシスによって指同士の境界の細胞が死に、それぞれの指が一本一本独立していくことで指が形成されます。

細胞数の調整に使われる「アポトーシス」

 人間のような生命体は、多細胞生命体です。
 しかし、地球上のすべての生物の8割は単細胞の生物です。

 単細胞の生物の細胞の場合、細胞分裂を繰り返して、数が増えていきます。基本的に自然死はない状態です(細胞が圧迫されて物理的に潰れることや、温度上昇で細胞機能が耐えられなくなったことでの死はあります)。
 かたや多細胞生物の場合、分裂のたびに無尽蔵に細胞が増えていたのでは個体を維持できない状態になります。そのため、多細胞生物は1個体あたりの細胞数がおおよそ決まっています。

 多細胞生物は、古くなった細胞は新しい細胞に切り替えていきます。
 新しい細胞を作るときには、元の細胞の設計図(DNA)をコピーして作ります。新しい細胞ができると、ミトコンドリアから発信するアポトーシスの信号により、不要になった細胞は、解体・分解されます。

 細胞分裂のときにDNAがコピーミスして生じた健全ではない細胞や、何らかのストレスなどによって発生した不完全な細胞もアポトーシスによって分解されます。

 正常にアポトーシスが機能していない場合には、糖尿病などの慢性疾患や疾病としてのがんなどの病気を引き起こすことがあります。

アポトーシスが誘導される条件

正常なアポトーシスが誘導される条件として、下記が挙げられます。

1・デスレセプターのシグナル伝達(細胞死を促す信号)
2・シトクロムCの遊離
3・がん抑制遺伝子p53が遺伝子p63よりも優位に働く
4・十分な量のATPがあること
この4つの条件がそろうと、正常なアポトーシスが起こります。

 

プラズマ療法とアポトーシス

 プラズマの装置にかかると、ミトコンドリアが活性化され、正常なアポトーシスを誘発されやすくなります。正常なアポトーシスにより、コピーミスなどで生じた不健全な細胞は、解体処理されます。
 どうして誘発しやすくなるのでしょうか。アポトーシスの4つの条件とプラズマ療法の関係をみていきましょう。

1・プラズマ療法とデスレセプターのシグナル伝達

 ミトコンドリアの内膜には、デスレセプター(Fas、TNFαR、DR3、DR4、DR5)と呼ばれる箇所があります。ここからシグナルが伝達されます。このシグナル伝達は、ミトコンドリア内膜の電位が上昇することで起こることが分かっています。

 プラズマ装置にかかると、体の中のすべての内膜に電子が発生します。当然、ミトコンドリア内膜にも電子が発生します。内膜の電位が上昇します。このため、デスレセプターのシグナルが発信されやすくなると考えられています。

2・プラズマ療法とシトクロムCの遊離

 シトクロムCは、ミトコンドリア内膜にある電子伝達系の複合体Ⅲにあります。プラズマの装置にかかりこの内膜に電子が発生します。発生した電子がミトコンドリアにある一酸化窒素合成酵素を刺激してNO(一酸化酵素)が発生します。

 シトクロムCは、中心にヘム鉄を持っています。このヘム鉄と一酸化窒素が硝酸反応を起こして、中心のヘム鉄が崩壊します。これにより、シトクロムCの遊離がおこります。

3・プラズマ療法でがん抑制遺伝子p53が遺伝子p63より優位に働くようになる理由

 プラズマ療法は、酵素を活性化することが分かっています。プラズマ装置にかかると細胞内のDNAリガーゼや、遺伝子修復酵素などが活性化します。こうして、がん抑制遺伝子p53が、遺伝子p63より優位に働くようになります。

4・プラズマ療法とATPの増量

 ミトコンドリア内膜に電子が発生することで、マトリクス内のプロトン(H+)勾配が高くなります。マトリクスにはATP合成酵素は、水力発電のようなシステムでエネルギーを生み出し、ATPを合成しています。水替わりの水素イオン勾配が高くなるので、より一層ATPを生産できるようになります。
 また、プラズマ療法での酵素活性により、体内のATP合成酵素が活性化することでもATPをより生産しやすくなります。

 このように、プラズマ療法は、正常なアポトーシスを起こす4つの条件にアプローチできます。そのため、根本的な体質改善などに貢献できると考えられています。

プラズマの装置にかかると何が起こる?~ATP編

プラズマの装置でATPはどうして増えるのか、今回はその仕組みを分かりやすく解説していきます。

そもそもATPとは…

そもそもATPってなんでしょう。
ATP(アデノシン三リン酸)とは、人体を車に例えるとガソリンの役割を果たしています。主に、細胞内のミトコンドリアにあるATP合成酵素で生産されています。
私たちは食べ物で取り込んだ有機物を、呼吸で吸った酸素を使って二酸化炭素と水に分解します。そして、有機物から取り出した水素イオンをミトコンドリア内の電子伝達系まで運んでいきます。
運ばれた水素イオンは、ミトコンドリアの内膜から膜間腔にポンプで吸い上げ、ATP合成酵素でATPの合成に使用されます。
ATP合成は呼吸の最終地点でもあるのです。

ATP合成酵素

ミトコンドリアの内膜には、ATP合成酵素と呼ばれる酵素があります。ここでは水力発電所が水の高低差を利用して発電するように、水素イオンの勾配差を利用して発電をしています。発電したエネルギーを使い、ADP(アデノシン二リン酸)とリン酸を一つ合成し、ATP(アデノシン三リン酸)を生産します。

プラズマの装置にかかるとATP生産がどう変化するのか

プラズマの装置にかかるとどうして、ATPの生産量が増えていくと考えらえているのでしょうか。二つ理由が挙げられます。

一つめは、プラズマの装置にかかって体内に発生する電子がATP合成酵素を刺激している点です。プラズマは体内の酵素が活性化していきます。そのために、ATP合成酵素も活性化してATPをより生産できるようになります。
二つめは、ミトコンドリア外膜にも電子が発生する点です。これにより水素イオンの勾配がより一層高まり、ATP合成酵素の生産量が増えていきます。
この二つの理由により、ATPの生産量が増えると考えられています。